「アキレス腱を切ってしまったあと、家の中でどう動けば安全なのか」「気づかないうちに、腱に負担をかける動きをしていないか」——アキレス腱断裂の治療中・治療後、こうした不安を抱える方やご家族は少なくありません。歩く・立つといった毎日の動作に直結する場所だからこそ、動かし方に迷いが出やすい部位です。
この記事では、アキレス腱を痛めたあとに自宅で気をつけたい「やってはいけない動き」と、装具・荷重の注意点を理学療法士がわかりやすく整理します。回復には個人差があり、体重をかけてよい時期や動かしてよい範囲は、手術の有無や治療方針によって大きく変わります。実際の制限は必ず主治医の指示を優先してください。
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なぜ「やってはいけない動き」を知ることが大切なのか
アキレス腱は、ふくらはぎの筋肉とかかとの骨をつなぐ、体の中で最も強い腱のひとつです。歩く・つま先立ちする・地面を蹴るといった動作の要になっています。腱が修復されていく途中の時期に強い力が急に加わると、再び断裂したり、回復に時間がかかったりすることがあります。だからこそ「どこまで動かしてよいか」を知っておくことが、あわてて再受傷を招かないための第一歩になります。
アキレス腱を痛めたあと、やってはいけない主な動き
以下は一般的に注意が必要とされる動きです。制限の程度は人によって異なりますので、あくまで目安としてお読みください。
- 許可が出る前のつま先立ち・背伸び:かかとを上げる動きは腱を強く引っぱります。早い時期は特に避けたい動作です。
- 許可前に足の裏全体へ体重をかける:装具や松葉杖の指示がある間は、決められた荷重の範囲を守ることが大切です。
- 急に足首を大きく反らす(背屈):腱を伸ばす方向への急な動きは負担が大きくなりがちです。
- 階段や坂道を急いで下りる・段差を飛び降りる:着地の衝撃が腱に集中します。
- 自己判断で装具(かかとを上げる中敷きなど)を外す・高さを変える:装具は腱を守る役割があります。調整の時期は指示に従いましょう。
- 痛みや突っぱり感を我慢して続ける:強い痛みは「今は負担が大きい」というサインのことがあります。
装具と荷重は「段階的に」が基本
アキレス腱を痛めたあとは、かかとを高くした装具で足首の角度を保ち、体重をかける量や足首の動きを段階的に増やしていくのが一般的です。「最初は装具のこの角度で、経過をみて少しずつかかとを下げる」といった形で、担当の医師や理学療法士が状態を見ながら進めます。大切なのは、自己判断で段階を飛ばさないこと。決められた範囲の中で、こわばりを防ぐやさしい動きを続けることが、その後の歩きやすさにつながっていきます。
自宅での生活動作の工夫
- 移動:松葉杖や装具の指示がある間は、あわてず一歩ずつ。滑りやすい靴下や床は避けます。
- 階段:手すりを使い、上るときは痛くない方の足から、下りるときは痛めた方の足から、一段ずつ慎重に。
- 入浴:浴室は滑りやすい場所です。滑り止めやシャワーチェアを使い、片脚で不安定にならないようにします。
- 就寝・安静時:足を心臓より少し高くして休むと、腫れやむくみがやわらぎやすくなります。
再断裂・転倒を防ぐために
アキレス腱を痛めたあとは、動きへの不安から活動量が落ち、かえってバランスが不安定になることがあります。焦って動きすぎるのも、こわがって動かなさすぎるのも避けたいところです。段差の解消や明るい足元など、住まいの環境を整えることも転倒予防に役立ちます。決められた範囲で少しずつ動く——この積み重ねが、安全に歩行を取り戻す近道です。
こんなときは医療機関へ
次のような変化があるときは、自己判断で様子を見ず、早めに医療機関へご相談ください。
- ふくらはぎやかかとに強い痛み・腫れ・熱をもった感じが続く、または急に強くなった
- 「ブチッ」という感覚のあと、力が入らない・かかとが上げられない
- 足先の色が悪い、しびれが強い、感覚が鈍い、ふくらはぎがパンパンに張る
自宅で安全に進めたい方へ
「どこまで動かしてよいかわからず、こわくて動けない」——そんなときは、専門職と一緒に進めると安心です。Avensは、病院で現役の臨床に立つ理学療法士がご自宅にうかがい、主治医の指示をふまえながら、その時期に安全な動き方を一緒に確認していく自費・保険外の訪問リハビリです。介護保険のような回数・時間の制限はありません。
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よくある質問
Q. いつからかかとを地面につけて歩けますか?
A. 体重をかけてよい時期は、手術の有無や治療方針、腱の修復の進み具合によって大きく異なります。装具の角度を段階的に下げながら進めることが一般的です。時期には個人差がありますので、自己判断せず主治医や担当の理学療法士の指示に従ってください。
Q. 再断裂が心配です。特に気をつけることは?
A. 許可が出る前のつま先立ちや背伸び、急な段差の飛び降り、装具の自己調整は避けたい動作です。決められた荷重・角度の範囲を守り、痛みや突っぱり感が強いときは無理をせず、次回の受診時にご相談ください。
執筆
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を行うものではありません。症状には個人差があり、痛み・急な変化・強い不安がある場合は、医師や医療機関にご相談ください。