「骨盤を骨折したけれど、いつからまた歩けるのだろう」「退院が決まったものの、家で体重をかけて動いて大丈夫だろうか」——骨盤の骨折は、高齢の方が転倒したときに起こりやすいけがのひとつです。体を支える土台の骨のため、ご本人もご家族も、歩行がどのくらいで戻るのかをいちばん気にされます。
この記事では、骨盤骨折(恥骨・坐骨などの骨折)のあとに歩行を取り戻すまでの一般的な流れと、荷重(体重をかけること)開始の考え方、退院後に自宅で気をつけたいこと、注意したい受診のサインを、理学療法士の視点からやさしくまとめます。回復の経過には個人差があり、荷重を始める時期や運動の内容は、主治医の指示を優先してください。
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骨盤骨折(恥骨・坐骨骨折など)とは
骨盤は、脚の付け根から背骨の下を支える大きな骨のまとまりで、立つ・座る・歩くといった動作の土台になります。高齢の方では、転倒をきっかけに、体重のかかる恥骨(ちこつ)や坐骨(ざこつ)などが折れることが多くみられます。骨粗しょう症で骨がもろくなっていると、軽い転倒でも折れてしまうことがあるとされています(日本整形外科学会「症状・病気をしらべる」参照)。
骨盤骨折には、骨のずれが少ないものから、ずれが大きく手術が必要になるものまで幅があります。ずれの少ないタイプは、安静と荷重の制限をしながら経過をみる保存療法になることが多く、ずれが大きい場合は手術を行うこともあります。どちらになるか、またどのくらいで動けるようになるかは、骨折の型・治療の方法・年齢・もともとの体力などによって変わるため、一律の答えはありません。
いつから歩ける?歩行を取り戻すまでの一般的な流れ
骨盤骨折のあとのリハビリは、おおまかに「急性期→回復期→生活期」という段階を追って進みます。歩ける時期は人によって大きく異なりますが、流れの全体像を知っておくと見通しを立てやすくなります。
急性期(受傷・手術後〜入院中)
受傷や手術の直後は、痛みや全身の状態をみながら安静を保ちつつ、ベッドの上でできる運動や、体を少しずつ起こす練習から始めることが一般的です。体をできるだけ早い段階から動かすことは、筋力や体力の低下、合併症の予防につながると考えられています。どのくらい体重をかけてよいか(荷重の範囲)は、骨折の型や治療の内容に応じて医師から指示が出ます。
回復期(リハビリ病院・転院先など)
全身状態が安定してくると、立ち上がりや歩行の練習、筋力トレーニング、日常動作の練習を集中的に行う時期に移ります。平行棒や歩行器、杖などの支えを使いながら、許可された荷重の範囲内で、少しずつ立つ・歩く距離や自立度を高めていきます。
生活期(退院後・自宅)
退院後は、入院中に取り戻した力を自宅での生活の中で維持・向上させていく時期です。ここで活動量が落ちてしまうと、戻りかけた筋力や歩行が再び低下してしまうこともあるため、無理のない範囲で体を動かし続けることが大切とされています。
「退院後、自宅でどう続ければいいのか分からない」と迷ったら——自費の訪問リハビリが始まるまでの流れ(初回相談〜開始)もあわせてご覧いただけます。
荷重開始の一般的な考え方
骨盤骨折で「いつから歩けるか」を左右するのが、荷重(けがをした側の脚や骨盤に体重をかけること)をいつ・どのくらい許可されるかです。考え方の目安として、次のようなことが知られています。ただし実際の時期や範囲は骨折の型・治療によって大きく異なるため、必ず主治医の指示を優先してください。
- 荷重の範囲は医師が段階的に決める:まったく体重をかけない時期から、半分程度、全体重へと、骨の治り具合をみながら段階的に広げていくことが一般的です。
- ずれの少ない骨折は、痛みに応じて早めに荷重を進めることもある:恥骨など安定したタイプでは、痛みと相談しながら比較的早い時期に立つ・歩く練習を始める場合があります。
- 自己判断で負荷を上げない:「もう痛くないから」と許可より早く体重をかけると、治りに影響することがあります。許可された範囲を守ることが、結果的に早い回復につながりやすいとされています。
- 支えを上手に使う:歩行器・杖・手すりを使うことは、骨盤への負担を減らしながら安全に歩く練習を進めるうえで役立ちます。
荷重を始める時期や運動の内容は、医師やリハビリ担当者が骨折の状態をみて判断します。見通しや目標については、こまめに共有しておくと安心です。
退院後、自宅で気をつけたいこと
自宅での生活期では、次のような点を意識すると、歩行の回復を後押ししやすくなります。いずれも痛みや体調と相談しながら、無理のない範囲で行ってください。やってはいけない動きの詳細は骨盤骨折でやってはいけない動きでも整理しています。
- 荷重・動作の指示を守る:どこまで体重をかけてよいか、避けたい動きは何かは骨折の型によって異なります。主治医やリハビリ担当者の指示を優先しましょう。
- お尻・太ももの筋力を保つ:立つ・歩くを支える殿筋(お尻)や大腿四頭筋(太もも前面)の運動を、許可された範囲でこまめに取り入れます。
- 立ち座りの負担を減らす:椅子・ベッド・トイレは少し高めにすると、骨盤や股関節への負担を減らしやすくなります。
- 生活動作の中で体を使う:立ち座り、トイレ、着替えなど、日常の動作そのものがよい運動になります。
- 転倒を防ぐ環境を整える:段差・滑りやすい床・暗い廊下など、転びやすい要因を減らします。再骨折を防ぐためにも大切です。
適度な運動が心身の健康や回復に役立つことは、公的機関でも紹介されています(健康長寿ネット「運動の効果」参照)。効果には個人差があり、体調や治療の状況によって適した内容は異なります。骨の折れやすさに関わる骨粗しょう症がある場合は、その治療も主治医と続けましょう。
回復期間の目安と、経過を左右する要素
骨盤骨折のあと、歩行がどのくらいで安定してくるかは一人ひとり大きく異なります。ずれの少ない骨折で数週間から数か月かけて少しずつ元の生活に近づく方が多い一方で、もとの歩行まで戻るのに時間がかかる方や、杖や歩行器を使い続ける方もいらっしゃいます。期間を一律に示すことは難しく、次のような要素が経過に関わると考えられています。
- 骨折の型と治療の方法(保存療法か、手術か など)
- 年齢や骨の状態(骨粗しょう症の有無など)
- 骨折する前の活動量・歩行の状態
- 持病や合併症の有無、全身の体力
- リハビリを続けられる環境や意欲
「周りの人と比べて遅い気がする」と焦る必要はありません。その人のペースで、できることを少しずつ積み重ねていくことが、結果的に歩行の回復につながりやすいとされています。骨折全般で気をつけたい動きは骨折後にやってはいけない動き・部位別の注意点まとめでも確認できます。
こんなときは医療機関へ
回復の途中でも、次のような様子があるときは、我慢せず主治医や医療機関にご相談ください。
- 安静にしていても骨盤や脚の痛みが急に強くなった、腫れや熱をもっている
- 脚に力が入らない、しびれる、感覚が鈍い
- 排尿・排便がしにくい、下腹部の張りが強い
- 片脚のふくらはぎが急に腫れて痛む、息切れをともなう
- 転んでしまった、ぶつけたあとに痛みや動かしにくさが出た
骨折後の経過には個人差があり、荷重や運動の可否は医師が判断します。自己判断で負荷を上げたり、気になる症状を我慢したりせず、医療機関にご相談ください。
Avensでできるサポート
Avensは、理学療法士が運営する自費訪問リハビリサービスです。骨折そのものの治療は行いませんが、退院後に「自宅で歩行をもう一歩しっかり戻したい」「安全に動けるようになりたい」という段階を、次のような形でお手伝いします。
- 主治医の指示をふまえた、許可の範囲での歩行練習・筋力トレーニングの提案
- 立ち座り・トイレ・入浴など、生活動作の安全な進め方のアドバイス
- 自宅内の段差・手すりなど、転倒・再骨折を防ぐ環境づくりの相談
- ご本人の体調やペースに合わせた活動量の調整
- 必要に応じて、主治医やケアマネジャー、医療機関との連携
対応エリアは東京都(板橋区・北区を中心とした23区)と埼玉県南部です。介護保険のような回数・時間の制限はありません。「退院後、自宅でのリハビリをどう続ければいいか分からない」という段階のご相談も歓迎しています。話を聞くだけでも大丈夫です。
まとめ・相談案内
骨盤骨折(恥骨・坐骨などの骨折)のあとは、保存療法や手術を経て歩行の再獲得を目指していく方が多くいらっしゃいます。「急性期→回復期→生活期」と段階を追って進み、いつから歩けるかは、医師が決める荷重の時期と退院後の自宅での過ごし方に大きく左右されます。回復の速さや到達点には個人差があり、荷重を始める時期や運動の内容は主治医の指示を優先することが大切です。
Avensでは、退院後の歩行や生活に不安を抱える方やご家族のご相談を受け付けています。「自分の場合はどこまで動いてよいのだろう」という段階でも構いません。LINEから気軽にメッセージをお送りください。
初回の訪問・体験は無料です(ご相談・お問い合わせももちろん無料)。ご本人・ご家族どちらからでも、相談だけでも大丈夫です。理学療法士が直接お返事します。
よくある質問
Q. 骨盤骨折は、いつから歩けるようになりますか?
A. 骨折の型・治療法・骨の状態によって個人差が大きく、一概には言えません。医師が許可する荷重の時期に沿って、歩行器や杖などの支えを使いながら段階的に立つ・歩く練習を進めていきます。見通しは主治医やリハビリ担当者にご確認ください。
Q. 骨盤骨折は手術しないこともありますか?
A. ずれの少ない骨盤骨折は、安静と荷重制限で経過をみる保存療法になることがあります。ずれが大きい場合は手術になることもあり、どちらになるかの判断は主治医が行います。
Q. 退院後、自宅ではどんなことに気をつければよいですか?
A. 医師から指示された荷重・動作の範囲を守りながら、お尻や太ももの筋力を保つ運動、生活動作の中での活動、転倒を防ぐ環境づくりが大切です。痛みや体調と相談しながら、無理のない範囲で続けましょう。
執筆
最終更新:2026年10月14日
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を行うものではありません。回復の経過や歩行の到達点には個人差があり、荷重や運動の可否は医師が判断します。痛みの急な増強・発熱・脚のしびれや腫れ・排尿排便のトラブルなど気になる症状がある場合は、速やかに主治医や医療機関にご相談ください。