「人工膝関節の手術を受けたけれど、いつごろ自分の足で歩けるようになるのだろう」「膝はどこまで曲がるようになるの?」——人工膝関節全置換術(TKA)を受けた方やそのご家族は、歩行と膝の曲がり具合がどのくらいで戻ってくるのかを、いちばん気にされます。
この記事では、人工膝関節置換術(TKA)のあとに歩行を取り戻し、膝の可動域(曲げ伸ばしの範囲)が回復していくまでの一般的な流れと、退院後に自宅で続けたいこと、回復期間の目安、注意したい受診のサインを、理学療法士の視点からやさしくまとめます。回復の経過には個人差があり、運動の内容や膝を曲げる角度の進め方は、主治医やリハビリ担当者の指示を優先してください。
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人工膝関節全置換術(TKA)とは
人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)は、変形性膝関節症や関節リウマチなどで傷んだ膝関節の表面を、金属やポリエチレンでできた人工の関節に置きかえる手術です。強い痛みや変形で歩くのがつらくなった方に行われることが多いとされています(日本整形外科学会「変形性膝関節症」参照)。
手術のあとは、痛みの軽減とあわせて、「もう一度しっかり歩けるようになること」「膝を日常生活に必要な範囲まで曲げ伸ばしできるようになること」を目標に、リハビリを進めていきます。「いつ歩けるの?」「どこまで曲がるの?」という問いに一律の答えはありませんが、適切なリハビリによって、歩行と膝の動きの回復を目指していく方が多くいらっしゃいます。
歩けるまで・膝が曲がるまでの一般的な流れ
人工膝関節置換術のあとのリハビリは、おおまかに「急性期→回復期→生活期」という段階を追って進みます。
急性期(手術後〜入院中)
手術後は、痛みや腫れをみながら、早い段階から膝を動かす運動や、立つ・座る、歩行器や杖を使って歩く練習を始めることが一般的です。体をできるだけ早く動かすことは、筋力や体力の低下、関節が固まること(拘縮)の予防につながると考えられています。膝をどこまで曲げてよいか、どのくらい体重をかけてよいかは、医師やリハビリ担当者の指示に沿って少しずつ広げていきます。
回復期(入院〜退院前後)
痛みや腫れが落ち着いてくると、歩く距離を伸ばす練習や、太ももの筋力トレーニング、膝の曲げ伸ばしの練習を集中的に行う時期に移ります。杖や手すりを使いながら、少しずつ自立した歩行や、日常生活に必要な動作の獲得を目指していきます。この時期に膝の可動域をていねいに広げておくことが、退院後の生活のしやすさにつながりやすいとされています。
生活期(退院後・自宅)
退院後は、入院中に取り戻した歩行力と膝の動きを、自宅での生活の中で維持・向上させていく時期です。ここで活動量が落ちたり、膝を動かさなくなったりすると、せっかく広がりかけた可動域や筋力が戻りにくくなることもあるため、無理のない範囲で体と膝を動かし続けることが大切とされています。
「退院後、自宅でどう続ければいいのか分からない」と迷ったら——自費の訪問リハビリが始まるまでの流れ(初回相談〜開始)もあわせてご覧いただけます。
退院後に自宅で続けたいこと(可動域・筋力・歩行)
自宅での生活期では、次の三つの柱を意識すると、歩行と膝の動きの回復を後押ししやすくなります。いずれも痛みや腫れ、体調と相談しながら、無理のない範囲で行ってください。
- 膝の可動域を保つ・広げる:膝の曲げ伸ばしは、入院中に教わった範囲を目安に、こまめに動かすことが大切です。曲げる角度をどこまで進めてよいかは、必ずリハビリ担当者の指示に沿って進めましょう。
- 太ももの筋力を保つ:立つ・歩く・階段を支える大腿四頭筋(太もも前面)やお尻の筋力を保つ運動を、座ったままでもできる範囲で取り入れます。
- 歩行と生活動作で体を使う:立ち座り、トイレ、着替え、家の中の移動など、日常の動作そのものがよい運動になります。無理のない距離から、少しずつ歩く量を増やしていきます。
- 腫れ・痛みと上手につき合う:運動後に膝が熱をもったり腫れたりすることがあります。冷やす・休むなど、入院中に教わった対処を取り入れ、強くなるときは無理をしません。
- 転倒を防ぐ環境を整える:段差・滑りやすい床・暗い廊下など、転びやすい要因を減らします。転倒は回復の妨げになるため、環境づくりも大切です。
適度な運動が心身の健康や回復に役立つことは、公的機関でも紹介されています(健康長寿ネット「運動の効果」参照)。効果には個人差があり、体調や治療の状況によって適した内容は異なります。
回復期間の目安と、経過を左右する要素
人工膝関節置換術のあと、歩行がどのくらいで安定し、膝がどこまで曲がるようになるかは、一人ひとり大きく異なります。退院後、数か月かけて少しずつ元の生活に近づいていく方が多い一方で、膝の曲がり具合や歩行が安定するまでに時間がかかる方もいらっしゃいます。期間や到達点を一律に示すことは難しく、次のような要素が経過に関わると考えられています。
- 手術前の膝の状態(変形の程度、もともとどのくらい曲がっていたか)
- 年齢や全身の体力、持病の有無
- 手術前の活動量・歩行の状態
- 痛みや腫れの引き具合
- リハビリを続けられる環境や意欲
膝の可動域は、手術前の状態や個人差によって到達点が変わります。「周りの人と比べて曲がらない気がする」と焦る必要はありません。その人のペースで、できることを少しずつ積み重ねていくことが、結果的に回復につながりやすいとされています。見通しや目標の角度については、主治医やリハビリ担当者とこまめに共有していきましょう。
こんなときは医療機関へ
回復の途中でも、次のような様子があるときは、我慢せず主治医や医療機関にご相談ください。
- 膝の痛みが急に強くなった、腫れや熱が引かない・強くなっている
- 傷口から膿が出る、赤みが広がる、発熱がある
- 膝が急に曲げ伸ばししにくくなった、動かすと強い抵抗がある
- ふくらはぎが急に腫れて痛む、息切れをともなう
- 転んでしまった、ぶつけたあとに痛みや動かしにくさが出た
手術後の経過には個人差があり、運動の可否や膝を曲げてよい角度は医師やリハビリ担当者が判断します。自己判断で負荷や角度を上げたり、気になる症状を我慢したりせず、医療機関にご相談ください。
Avensでできるサポート
Avensは、理学療法士が運営する自費訪問リハビリサービスです。膝そのものの治療は行いませんが、退院後に「自宅で歩行をもう一歩しっかり戻したい」「膝をもう少し動かせるようになりたい」という段階を、次のような形でお手伝いします。
- 主治医・リハビリ担当者の指示をふまえた、無理のない歩行練習・筋力トレーニングの提案
- 膝の可動域(曲げ伸ばし)を保つ・広げるための運動の進め方のアドバイス
- 立ち座り・トイレ・入浴・階段など、生活動作の安全な進め方のアドバイス
- 自宅内の段差・手すりなど、転倒を防ぐ環境づくりの相談
- ご本人の体調やペースに合わせた活動量の調整、主治医やケアマネジャーとの連携
対応エリアは東京都(板橋区・北区を中心とした23区)と埼玉県南部です。「退院後、自宅でのリハビリをどう続ければいいか分からない」という段階のご相談も歓迎しています。話を聞くだけでも大丈夫です。
まとめ・相談案内
人工膝関節置換術(TKA)のあとは、手術とリハビリを経て、歩行の再獲得と膝の可動域の回復を目指していく方が多くいらっしゃいます。「急性期→回復期→生活期」と段階を追って進み、退院後の自宅での過ごし方も、歩行と膝の動きの回復を大きく左右します。回復の速さや到達点には個人差があり、運動の内容や膝を曲げる角度の進め方は、主治医やリハビリ担当者の指示を優先することが大切です。
Avensでは、退院後の歩行や膝の動き、生活に不安を抱える方やご家族のご相談を受け付けています。「自分の場合はどこまで動いてよいのだろう」という段階でも構いません。LINEから気軽にメッセージをお送りください。
初回の訪問・体験は無料です(ご相談・お問い合わせももちろん無料)。ご本人・ご家族どちらからでも、相談だけでも大丈夫です。理学療法士が直接お返事します。
よくある質問
Q. 人工膝関節の手術後、いつごろ歩けるようになりますか?
A. 手術後の早い段階から、歩行器や杖を使った歩行練習を始めることが一般的で、退院後は数か月かけて少しずつ自立した歩行に近づく方が多くいらっしゃいます。ただし、安定するまでの期間には大きな個人差があり、一律には示せません。見通しは主治医やリハビリ担当者にご確認ください。
Q. 膝はどのくらい曲がるようになりますか?
A. 日常生活に必要な範囲までの回復を目指してリハビリを進めますが、どこまで曲がるようになるかは手術前の膝の状態や個人差によって変わります。曲げる角度をどこまで進めてよいかは、必ずリハビリ担当者の指示に沿って進めてください。
Q. 退院後、自宅ではどんなことに気をつければよいですか?
A. 教わった範囲での膝の曲げ伸ばし、太ももの筋力を保つ運動、生活動作の中での活動、転倒を防ぐ環境づくりが大切です。運動後に腫れや痛みが強くなるときは無理をせず、気になる症状があれば主治医にご相談ください。
執筆
最終更新:2026年10月14日
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、診断や治療を行うものではありません。回復の経過や膝の可動域の到達点には個人差があり、運動の可否や膝を曲げてよい角度は医師やリハビリ担当者が判断します。痛みの急な増強・発熱・傷の異常・膝やふくらはぎの腫れなど気になる症状がある場合は、速やかに主治医や医療機関にご相談ください。